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エンジンオイルの上手な選び方

エンジンオイルの分類と種類

エンジンオイルは、品質・性能で分ける「API分類」・「ILSAC分類」と、粘度で分ける「SAE分類」があります。


(1)品質分類

API分類

APIとは、エンジンオイルの品質分類を設定したアメリカ石油協会の略称で、分類の目的はそのオイルがどのような品質かを表示するためのものです。


用途 記号 説明 品質
ガソリン車 SL 2001年に設定された最高級ガソリンエンジンオイル。SJに対しすべてのエンジン試験項目を見直し最新の環境対応型エンジンに適合した品質。省燃費の長期持続性試験が初めて導入され、蒸発性やデポジット防止性も大きく改善された。 高い
SJ 1996年10月に設定されたAPIガソリンエンジンオイルの規格。SH性能の蒸発性、触媒被毒性をさらに改良し、燃費も向上。
SH 新認証システム(API EOLCS)に基づいた規格。SG性能に加え、オイル蒸発性、せん断安定性、泡消し性などの要求性能に合格する。
SG 1989年式以降のガソリン乗用車、バン、軽トラックに適用。デポジット、酸化、摩耗、さび、腐食などの防止に対し充分な性能。
SF 1980年式以降のガソリン車用。
SE 1972年式以降のガソリン車用。 低い
用途 記号 説明 品質
ディーゼル車 CF−4 1991年12月に認定された。過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用で、CEオイル消費抑止性が向上している。 高い
CF 基本的に要求項目はCDと同じだが、評価エンジンを新しくしたもの。
CE 1983年以降製造のヘビーデューティーの過給ディーゼルエンジンで低速高荷重で運転するものの両方に用いる。CD級よりさらにオイル消費性能、デポジット防止性能、スラッジ分散性能を向上させたもの。
CD 高速高出力運転で高度の摩耗およびデポジット防止性を要求する過給ディーゼルエンジン用。広範な品質の燃料を使用する過給ディーゼルを満足させる軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。 低い
※API分類の他にILSAC分類もあります。

ILSACとは、自動車エンジンオイルの世界規格を作るために日米の自動車工業会が設立した組織名で、ILSACが制定した規格がILSAC GF規格です。01年7月のAPI SLに合わせ、ILSAC GF-2に代わりGF-3が制定されました。API SLとILSAC GF-3の主な違いはILSACは燃費改善を要求項目に入れているがSLにはないことです。

(2)粘度分類(SAE分類)

SAEとは、エンジンオイルの粘度分類を設定したアメリカ自動車技術者協会の略称で、そのオイルがどの程度の外気温で使えるかを判断するためのものです。0Wから60までの11段階に分けられ、SAE番号が大きくなるほど粘度が高いことを意味します。また、Wは冬期用を意味し、低温時のエンジン始動性の目安になります。

SAE分類

SAE分類と使用可能温度の目安

グレードによる使用温度範囲のグラフ

(注)使用可能温度は、あくまで目安であり、エンジンにより適正は異なります。

エンジンオイルの主な添加剤

良質なエンジンオイルは、各種の添加剤が配合されており、その性質によってエンジンオイルの性能が決定されます。主な添加剤は次の表のとおりです。

添加剤名 はたらき
酸化防止剤 高温によるオイルの酸化、変質を防止してスラッジのような堆積物を生じさせにくくする。
清浄分散剤 スラッジ生成の原因となるススやオイル酸化物を微粒子の状態のままでオイルの中に分散、浮遊させておくことで摩擦部分をきれいに保つ。
粘度指数向上剤 オイルの粘度指数を向上させ、熱変動による粘度の変化を少なくする。
摩擦係数調整剤 燃費効率を向上する。
摩耗防止剤 金属面に保護膜を作り、こすり合う金属面の摩耗を防止する。
流動点降下剤 極低温下におけるオイルの固化を防ぎ、オイルの流れを良くすることにより、良好な潤滑を保つ。
腐食防止剤 腐食に弱い軸受部分のケルメット(銅鉛合金)を保護するため、油の酸化を防ぎ酸中和のはたらきをする。
防錆剤 錆の原因となる酸素と水から金属面を守るため、金属表面に強く吸着して保護膜をつくる。
消泡剤 酸化の促進、潤滑性の低下、オイル消費の増加の原因となる泡立ちを防止する。

【注】

ガソリンエンジン車用オイルとディーゼルエンジン車用オイルとではエンジンの要求性能に従い異なった添加剤が使われています。

ガソリンエンジンにディーゼルエンジン車用オイルを、ディーゼルエンジンにガソリンエンジン車用オイルを使用いたしますとトラブルの原因となることがありますので、正しく使用することが必要です。

トヨタ自動車株式会社様と大阪トヨタ自動車株式会社様のご協力により掲載しています。

掲載日:2004.8.4


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